Sotugyo

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Discussion

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1.調査の目的
 第一章では、先行研究として、マス・メディアの使命やマスコミ不信の背景、そしてどのようなことが名誉毀損やプライバシー侵害につながるのかといった法的解釈や犯罪報道といった現状についてみてきた。
 本章では、グループディスカッションという形をとり、学生の意識調査を行なう。グループディスカッションを行なう上で、その題材として「和歌山カレー毒物混入事件」を取り上げた。序章でも述べたように、この事件を取り上げた理由は、この事件の人権侵害が問題視されたこと、林真須美被告へ死刑判決が言い渡されたこと、市民のマスコミに対する不信感の増大などがあげられる。
 では、いったい市民は実際に行われているマス・メディアの取材方法やその内容についてどのように感じ、あるいは考えているのだろうか。ここでは、マスメディアが自らの使命だと考え行なった報道が実際に市民に受け入れられているかどうかを明らかにできたらと考える。

2.調査対象
 このグループディスカッションは、広島市立大学で20031117日(月)に行なった。時間は、午後1時過ぎから午後4時過ぎまでの約3時間をとった。対象者は広島市立大学国際学部学生で、内訳は女性3名、男性3名の計6名である。当日は、6名に私を加えた計7名でディスカッションを行なった。

3.調査方法
 6名には、調査前にディスカッション内容と事件の簡単な概要に目を通してもらい、提示したディスカッション内容について自由に論じてもらった。同時に、状況を想像しやすいように、写真を見てもらいながら進めていった。会話の録音は、MDで行なった。

4.ディスカッション内容の選定方法
 まず、朝日新聞と毎日新聞の縮刷版から和歌山カレー事件に関する記事を選び、参考とした。記事は、事件の起きた1998725日から1231日までの約5ヶ月間のものだ。その中から新聞社自身が人権と報道に関して書いていた記事と、私の主観で問題だと感じた記事や写真を抽出し、質問項目とした。しかし、それだけではディスカッション内容がメディアを否定するものばかりになる恐れがあったため、特に問題だとは感じない記事に関する質問項目も加えた。